3D オブジェクト形状表現
VariCAD で作成された 3D オブジェクトは閉じた表面(閉じたシェル)として表現されます。STEP から読み込まれたオブジェクトは開いたシェルになりますが、エラーが検出される場合、いくつかの欠けたパッチを持つ閉じた表面になる場合があります。欠けたパッチを持つソリッド、開いたシェル、パッチのセットは他のタイプからの変換によって作成される場合があります - VariCAD コマンドによる
すべてのタイプのオブジェクトはソリッド属性を設定でき、それらは BOM や他の部品リストで表示されます。すべてのタイプは 3D から 2D 図面の部品として 2D へ出力できます。すべてのタイプはどのタイプでも、ソリッド間で拘束を設定できます。
一方、閉じた表面のみ、体積、質量、重心(回転軸に対して)を計算できます。- 元のソリッド
形状表現のタイプ
閉じた表面、欠けたパッチ、開いたシェルの例
閉じた表面(閉じたシェル)
閉じた表面とは、オブジェクト - パッチに完全に囲まれているソリッドの事です。各パッチは 3D 曲線によって作成された外形線を持っています。そのような各曲線は、隣接した 2 つのパッチと接続しています。閉じたシェルのオブジェクトはすべての VariCAD 3D 操作を利用できます。
欠けたパッチを持つソリッド
このタイプは、元々ソリッドとして作成され、閉じた表面で表現されていたオブジェクトです。STEP 入力中、問題が検出された場合、いくつかのパッチが削除されます。また、対応する VariCAD コマンドでパッチが削除される場合があります。 – 下記参照
欠けたパッチを持つオブジェクトはほとんどの VariCAD 3D 操作を利用できますが、体積と重心の計算はできません。論理演算と縁のブレンドには制限があります。交差曲線が作成された場合、これらは動作しません。例えば、欠けたパッチの縁の論理演算の切り取り等です。
欠けたパッチを持つソリッドは"穴を持つオブジェクト"として表示されます。欠けたパッチを介して、内側からソリッドを確認できます。
開いたシェル
開いたシェルはパッチと 2 つの隣接したパッチを持った 3D 曲線によって作成されている閉じられた表面と表現されます。しかし、開いたシェルはまた、1 つのパッチのみを取り囲んだ曲線も含んでいます。
開いたシェルは体積や慣性モーメントの計算に対応していません。また、論理演算やブレンドにも対応していません。必要な場合、開いたシェルを欠けたパッチを持つオブジェクトに変換し、変換したオブジェクトでこれらの操作を実行できます。また、1 つ以上のパッチまたはすべてのパッチかを選択することができ、選択したパッチのオフセットによって、定義した太さでシェルを作成できます。 詳細は パッチのオフセット - シェル を参照ください。
開いたシェルは 0 の厚みのパッチとして表示されます。表面は両側から同じに見えます。
一組のパッチ
一組のパッチはシングルパッチのセットとして表現されます。各パッチはそれ自体の外形線によって囲まれます。隣接したパッチは定義されません。この形状の表現は基本的な操作のみサポートしています(下記参照)。選択したオブジェクトをこの表現に変換する場合、変換後、元には戻せません。(VariCAD セッションを中断する場合を除く)
STEP ファイルには、三角ファセットによる形状表現が含まれており(STL データに類似)、VariCAD はそれらをパッチのセットとして読み込みます。平面とは異なる表面タイプは平面ファセットの特定の数に置き換えられます。さらにこの表現は多くの RAM を必要とします。
形状の表現を別のタイプに変換
STEP から読み込んだオブジェクトを、閉じた表面(ソリッド)ではなく別のタイプの表現で使用したい場合、オブジェクトを VariCAD コマンドで他のタイプに変換できます。
次のような理由で変換する場合があります:
- オブジェクトが他のソフトウェア用に STEP で保存する必要がある場合。閉じたソリッドではなく、開いたシェルや一組のパッチである必要がある場合。
- 開いたシェルで論理演算やブレンドを実行する必要がある場合。欠けたパッチを持つオブジェクトに変換できます。
オブジェクトを右クリックし、ポップアップメニューから変換タイプを選択して変換できます。しかしながら、ほとんどのスタンダードタイプ(閉じた表面/ソリッド)ではこの選択はできません。
それ以外は、次のコマンドを使用してください:
開いたシェルへソリッドを変換 - OSHELL |
変換中、削除するパッチを選択します。また、オプションで開いたシェルを作成するパッチを選択できます。
欠けたパッチを持つオブジェクトへソリッドを変換 - PTCHM |
パッチの選択は、開いたシェルの作成と同様です。
一組のパッチへソリッドを変換 - PTCHS |
パッチの選択は、開いたシェルの作成と同様です。
上記のコマンドには、パッチの選択にいくつかのオプションがあります:
検出済み以外のすべて – ソリッド全体のすべてのパッチを選択、クリックしたパッチ以外。このオプションは、1 つのパッチのみ削除する場合、大変便利です。 |
パッチのオフセット - シェルをクリックし、パッチのオフセットとして VariCAD で作成します。表面全体が選択されます。例えば、設定した厚さを持つシェルを厚みを持たない開いたシェルのみ要求するシステムに出力する必要がある場合などです。 |
板金ソリッド全体 – ソリッドをクリックします。ソリッドが板金オブジェクトとして作成されている場合、対応する表面全体が選択されます。 |
選択したパッチの保存 – チェックを入れた場合、選択したすべてのパッチはソリッド形状の変換に使用されます。 |
選択したパッチの削除 – チェックを入れた場合、選択したすべてのパッチはソリッドの形状変換の前に削除されます。このオプションは上記のオプションと反対です。 |
開いたシェルのオブジェクトをハイライト
上記のように、開いたソリッドでのいくつかの操作には制限があるか、またはサポートされていません。VariCAD はそのようなオブジェクトをハイライトすることができます。また、開いたシェルの連続したオブジェクトの境界や欠けたパッチを持つソリッドをハイライトできます。その結果、空間全体からどのオブジェクトがスタンダードな閉じたソリッドでは利用できる機能をサポートしていないか、簡単に確認できます。
欠けたパッチを持つソリッドの境界や開いたシェルの境界を表示するには、オブジェクトを右クリックし、メニューから機能を選択してください。また、開いたシェルはコマンド 3D 空間情報 で表示できます。
開いたシェルを確認するには次のオプションがあります:
開いたソリッドをすべて表示 - DOS |
このコマンドはすべての開いたソリッドをハイライト、または連続したパッチのすべての境界線をハイライトします。
開いたソリッドの穴をすべて表示 - DHOS |
このコマンドは選択したオブジェクトの連続したパッチの境界線を表示します。これらの境界線がさらに交わり、演算中、交点を計算する場合、論理演算またはブレンドには対応しません。
削除したパッチ周囲の開いたソリッドの穴を表示 - DHEOS |
コマンドは選択したオブジェクトの連続したパッチの境界線を表示します。しかし、削除したパッチの境界線のみハイライトされます。エラーが検出され、パッチ処理ができない場合、削除したパッチは STEP ファイルの入力中、削除されます。このコマンドは STEP から不完全に読み込まれたオブジェクトの検出に便利です。
ハイライトされた開いたソリッドの境界線、欠けたパッチを持つソリッドの例